- なぜオーバーホールが必要なのか?
- どこでオーバーホールしたら良いのか?
- オーバーホールの料金や期間
ロレックス買った時に「長持ちさせるために3~5年でオーバーホールが必要です」とお店の方に言われました。
しかし、オーバーホールは5~10万円と高額なため、
・実際そんな頻繫にオーバーホールしなくてもいいんじゃないの?
・3~5年で必要なんて営業トークじゃないの?
・使用頻度が少ないからやらなくていいでしょ
なんて思ったりしませんか?
私も「本当にやる必要あるの?」と考え先延ばしてましたが、時計をクリーニングに持って行く度に「そろそろオーバーホール時期です」と言われるのはプレッシャーでした。
しかし8年経っていつもの購入店でクリーニングをお願いした時、普段出てこない時計技師さんが裏から出て「このまま使うと壊れるよ」と真剣な表情でお話頂きました。
これきっかけに改めてオーバーホールの必要性を確認、オーバーホールすることを決意。
今ではオーバーホールはやった方が良い!と思っていますが、やはり初めてのオーバーホールは不安でした。
また、数年前にロレックス公式が推奨するオーバーホール周期が10年に伸びていたりと状況も変わってます。
そのためこの記事ではこらからオーバーホールを考えている方に最新の情報を踏まえて解説します。参考になれば幸いです。
結論から言うと、以下のようになります。
・オーバーホールは時計内部を清潔・快適な状態に保ち、長持ちさせるために必要
・期間は1ヶ月前後
・料金は正規:約7万円~、民間:約2万円~
オーバーホールとは分解洗浄のこと
オーバーホールとは分解洗浄ともいいます。
その名の通り、ネジの1本1本まで時計全てを分解し、洗浄します。
その際に部品の点検も行い、不具合のある部品は修理や交換。
定期的なオーバーホールが時計内部を清潔・快適な状態に保ち、時計の寿命を長持ちさせることができます。
オーバーホールが必要な理由
機械式時計は超精密機器のため
機械式時計はとても精密な機械です。
直径4cm前後の小さなケースの中に100個以上の部品を複雑に組み合わせて動かしています。
余談ですが、パテックフィリップのキャリバー89は、なんと1728個の部品を組み合わせて作られているそう。
それら多くの部品が滑らかに精度よく動くためには、適度な潤滑油と、清潔な環境が必要です。
オーバーホール(分解洗浄)は、その油の状態を保ったり、清潔な環境を保つために必要となります。
ではオーバーホールをしないとどうなるのでしょうか?
オーバーホールしないと故障の原因になる
長年オーバーホールをしないと、以下のようなことが発生します。
- 潤滑油の凝固や、乾燥による油切れ
- パッキンの経年劣化による水やゴミの侵入
- 長期の使用による部品の摩耗
この状態では直ぐに故障として現れないことも少なくありません。
しかしそのまま使い続けることで、結果的に歯車などが過度に摩耗、錆び、破損してしまいます。
そのまま使い続けると故障になる
故障の原因が生じても、時間にずれなく動いたり、少し異音がするけど動くなど、すぐには困らない場合もあります。
しかし、そのまま使い続けることで時計の内部がさらに痛み、
- 時間の進みが遅い/早い
- 針が動かない/逆転する
- ガラスに曇る/水滴が付く
- リューズが重くなる/空回りする
などの故障として表れてくるようになります。
ここまでくると多数の部品の交換が必要な場合もあり、修理費用が高額になる可能性があります。
はっきり故障として見える前にオーバーホールすることをおすすめします。
- バネ棒交換:11,400円
- リューズ交換:13,000円
参考:https://www.rasin.co.jp/blog/rolex/rolex_servicesenter/
>>故障原因別の料金事例はこちらの記事をご参考ください
使ってなくてもオーバーホールは必要
自分は
・数か月に1回しか使わない
・ほとんど止めてて動かしている時間は少ない
だから、オーバーホールは不要!
そう思う方もいると思います。
しかし、使わなくても潤滑油は劣化/乾燥しますし、必要な部分に油が回りません。
またパッキンも経年で劣化するため防水性が悪くなり、湿気や手洗い時の水の侵入などにより内部部品が錆びてしまいます。
数か月に1回だけ使う場合や、数年ぶりに取り出して使う場合などは、オーバーホールすることをおすすめします。
本当に一切使わない場合は、オーバーホールしなくても問題ありません。
しかしそれでは宝の持ち腐れですので、そのような場合は売却か、売りたくない方は時計預託サービスがおすすめです。
時計預託サービスについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
オーバーホールの実施内容
ここでは、正規(ロレックス)の実施内容を紹介します。(ロレックス公式の情報はコチラ)
民間修理業者でも基本的に変わりませんが、料金が安い代わりに外装仕上げなど一部工程がオプションに設定されていたりします。
時計の状態を確認し、必要な作業の見積もりを作成します
この時点での見積もりはあくまでも目安のためご注意ください。
オーバーホールの準備として、ムーブメント、ケース、ブレスレットに分解します。
部品をすべて分解し、部品の異常をすべて検査します。
超音波洗浄を実施し、不純物を取り除きます。
洗浄した部品を乾燥させた後、ムーブメントを再び組み立て、注油します。
ロレックスの精度基準に従い、最初の調整を行います。
ケースを完全に分解し、ミドルケース、ベゼル、バックケースおよびブレスレットに、本来の仕上げに従ってポリッシュ仕上げまたはサテン仕上げを施します。
洗浄した後、ケースの部品を再び組み立て、パッキンを交換します。そしてケースの防水性を検査します。
ダイアルと針が再び取り付けられたムーブメントをケースに収め、機能および外観を点検します。
分解した時計を再度組み立て直し、以下の検査を行います。
検査:精度チェック、防水チェック、駆動時間、磁気帯びチェック
正規だと見積もりを了承した後は、ロレックスの品質基準に満たない部品は全て交換されてしまいます。
一方、民間修理業者であれば相談に応じて貰うことが可能です。
オーバーホールは10年に1回実施が必要
一般的には3~5年でオーバーホールが必要ですが、ロレックスの場合は10年に1回でよいと公式のアナウンスがあります。
オーバーホールの頻度が少なくて良いのはロレックスの自信の表れですね。
ただし、この10年はあくまでも目安になります。
私も購入後8年ほどで使用頻度も高くありませんでしたがオーバーホールが必要な状況でした。
また『時間の進みが早い/遅い』『変な音がする』など既に不調が表れている場合は、推奨期間より早くてもオーバーホールをおすすめします。
オーバーホール代を安くする方法!民間修理業者を活用
故障する前にオーバーホールする
先ほど説明した通り、故障してしまうと修理代金が高くなります。
そのため定期的にオーバーホールすることで、結果的に安くオーバーホールすることができます。
正規以外(民間)の修理業社に依頼する
オーバーホールは正規(ロレックス)に依頼する以外にも、民間の修理専門業社に依頼する方法があります。
正規だと7万以上かかりますが、民間だと半額以下の3万円を切ることも珍しくありません。
例:デイトジャストのオーバーホール代
【日本ロレックス】71,500円
【民間修理業者】25,300円(差額:46,200円)
※WATCH COMPANY
例:デイトナのオーバーホール代
【日本ロレックス】88,000円
【民間修理業者】38,500円(差額:49,500円)
※WATCH COMPANY
正規(ロレックス)に依頼するメリット |
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確実な技術力 正規の保証書がついてくる |
民間修理業者に依頼する | メリット
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料金が安い 納期が短い 修理の相談に応じて貰えやすい |
技術力は当然、正規に依頼する方が圧倒的に安心です。
一方で、民間修理業者でも元ロレックス勤務、国家資格:時計修理技能士1級など優秀な技術者が多く在籍してる業者を選べば安心です。
また修理保証も1年など長い修理業社もありますので、保証期間も忘れずに確認しておきましょう。
オーバーホールの期間は1ヶ月前後が目安
オーバーホールの期間は1ヶ月前後が目安になります。
これは正規でも民間修理業者でも同じですが、民間修理業者の中には早さを売りにしているところや、正規よりも安い代わりに期間が長い業者も存在します。
また、これはオーバーホールの実施期間になりますので、見積もり期間や、郵送で依頼する場合の発送/返送の期間は含まれてません。
近いうちに時計を着けたい予定がある方は、期間もしっかり確認しておきましょう。
例:オーバーホール期間(見積もり、発送/返送期間を除く)
【日本ロレックス】4週間
【民間修理業者】2.5週
※WATCH COMPANY
よくある質問・不安
勝手に部品を交換される?勝手に値段が高くなる?
文字通り蓋を開けないと値段が分からないので不安になりますよね。
私も後で高額請求されるのが怖くて8年依頼出来ませんでした。
もちろん見積もり段階ならキャンセルも可能です。
しかし正規の場合、オーバーホール開始後にロレックスの品質基準に満たないと判断した部品は全て交換され、後で費用が増加する場合があります。
民間の場合は、正規に比べて部品交換をするか柔軟に相談が可能です。
そのため、民間ではオーバーホール後に高額請求というケースは発生しにくいです。
また、アンティークは当時の部品を使っていることに価値がある場合があります。
正規で依頼する場合は勝手に最新の部品に変えられるリスクがありますのでご注意ください。
並行差別はある?
並行差別とは、並行輸入品の時計は正規輸入品に比べて、オーバーホール代が高い、純正部品を使用しない、依頼自体を受け付けてくれないというものです。
結論から言うと、ロレックスには並行差別はありません。
正規でも民間修理業者でも、修理を受け付けてくれますし、料金も変わりません。
部品交換についても並行差別はありませんが、そもそも純正品を使ってくれるところを選ぶようにしましょう。
オーバーホールで時計を長く大切に使おう!
・オーバーホールは時計内部を清潔・快適な状態に保ち、長持ちさせるために必要
・期間は1ヶ月前後
・料金は正規:約7万円~、民間:約2万円~
時計の中身は見えないため一見問題なく動いている時計でも、中身はオーバーホールが必要な状況かもしれません。
あまり使わないよ!という方も、10年近くオーバーホールしていない場合は、油切れやパッキン劣化などが考えられますので、点検を兼ねて一度プロに見てもらってはいかがでしょうか。
また、民間修理業者を使うことで料金も安く抑えることが可能です。
思い出の詰まった時計だからこそ、大切に使ってあげることを検討されてはいかがでしょうか。
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